最近、「下町にタワーマンションが増えている」というニュースをよく目にします。
金町、十条、北千住といった、かつては庶民的な街並みだった場所に、次々と高層マンションが建ち並んでいます。
「え、あのエリアにも?」と驚く方も多いのではないでしょうか。
この変化の背景には、単なる建築ブームではない、時代と暮らしの変化が潜んでいます。
そして、住宅を「買う」「売る」という判断にも、大きな影響を及ぼし始めています。
下町にタワマンが増える4つの理由
なぜ下町でタワーマンションが増えているのか。
その理由を整理すると、大きく4つの要素が見えてきます。
まず一つ目は需要の変化です。
共働き世帯が増える中で、「職場へのアクセスが良く、保育園や商業施設が近い場所」に住みたいというニーズが高まっています。
「駅近で利便性が高い」=タワマン、という図式が成り立ちやすくなったのです。
二つ目は供給の変化。
行政の再開発計画や容積率の緩和によって、従来よりも高層化が容易になりました。
「横に広げるより、縦に積む方が採算が合う」──デベロッパーにとっても合理的な選択です。
三つ目は金融環境です。
超低金利と最長50年の住宅ローンが登場し、月々の返済を抑えながら高額物件を購入できるようになりました。
最後にブランド価値。
タワマンは「眺望・防犯・快適設備」などの付加価値を持ち、今や“資産”としてのブランドイメージが定着しています。
こうした流れが重なり、今や下町の駅前再開発にはタワマンが欠かせない存在になっています。
買う前に考えたい3つの視点
「便利そう」「資産価値が高そう」──そう感じて購入を検討する方も多いでしょう。
ただし、タワマンには一般的なマンションとは異なる注意点があります。
まず一つ目は地盤と災害リスク。
下町エリアはもともと低地が多く、液状化や洪水リスクを抱える地域もあります。
ハザードマップで確認し、自治体の防災対策にも目を通しておくことが大切です。
次に、管理費と修繕積立金の将来負担。
タワマンは共用部分が多く、エレベーターや設備の維持費が高額です。
築10年を超える頃から、管理費や修繕費が大幅に上がるケースも少なくありません。
「今払えるか」だけでなく、「20年後も維持できるか」を見通す視点が必要です。
最後は街全体の価値。
タワマンの資産価値は、物件単体ではなく「街の発展度合い」によって左右されます。
周辺の再開発計画や商業施設の充実度をチェックしておくと、将来の売却時に差がつきます。
売却を考えている人へ──今がチャンスかもしれない
一方で、すでにタワマンを所有している方にとっても、今は注目すべきタイミングです。
下町エリアの再開発が進み、タワマン需要が拡大している現在、中古市場が活発化しています。
特に、駅近・築浅・管理の行き届いた物件は、高値で取引される傾向があります。
「うちのマンション、どうかな?」と感じたら、まずは査定をしてみる価値があります。
反対に、築15年以上の物件は修繕費の上昇や設備更新の課題が出てくる時期です。
大規模修繕前に売却を検討するのも、一つの戦略です。
FPの視点──タワマンは“夢の住まい”ではなく“長期事業”
私は、住宅購入を**「感情」ではなく「計画」**で捉えることが大切だと考えています。
タワマンは、見た目の華やかさとは裏腹に、
管理費・修繕費・固定資産税・保険料・再販価格といった多くの数字が絡む“長期プロジェクト”です。
住宅は「買って終わり」ではなく、「維持していく経営」でもある。
家計全体のキャッシュフローを見ながら、教育費・老後資金とのバランスを取ること。
これが、後悔しない住宅購入・売却の基本です。
これからの住まい選びに必要なのは「未来目線」
下町のタワマン増加は、街の価値が再び動き出したサインです。
今後も開発の進むエリアは多く、資産としての魅力も高まるでしょう。
しかし、どんなに立派なマンションでも、家計や人生設計に合わない選択では意味がありません。
「今の暮らし」と「これからの未来」をつなぐ住まいを選ぶことが、本当の成功と言えます。
FPとして私は、住宅購入・売却の判断を
ライフプラン・教育資金・老後設計と合わせて考えるお手伝いをしています。
住まいは人生の器です。
その選択が、あなたと家族の未来を形づくる。
だからこそ、数字だけでなく「納得感」を大切にしてほしいと思います。
「家を買うか迷っている」「今の家を売るタイミングが知りたい」
そんなときは、お気軽にご相談ください。
数字と感情の両面から、“後悔しない決断”をサポートいたします。

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